スーパーDIOハイギア導入  2002/8/3完成

はじめに

我が家のスーパーDIO怪はパワーアップは果たしたものの、流れに乗って
巡航すると必然的に高回転キープとなるので精神衛生上よろしくない。
ホントはこのバイクでちょっと遠出もしてみたいのだが
信頼性にも難ありであろうということで、入れてみました、ハイギア。
最高速は上がらなくていよいから、安らぎの走りは手にはいるか?
ちょうど仲間内で「原付2種ツーリング」なる企画も持ち上がったことだし
それまでにセッティングも済ませることを目標に作業スタート。
(締め切り決めないと、作業はかどらないのよ(^^;))
購入したのは、キタコのハイギアキット。
スーパーDIOの場合ノーマル減速比3.5から3.077へ約12%減速比が
低くなる計算になる。
実はこのハイギアキット、バラで純正部品でそろえることが可能なのだが
めんどくさいので、キットで買っちゃいました。



作業
 
 まず、プーリーやクラッチ周りをばらします。
プーリーは前後ともセンターナットを外せばOKですが、基本的に周り止めの工具がないと
取れないようになっています。
これまで、ドライブ側のプーリーはめがねレンチを掛けて
ハンマーでひっぱたくという、乱暴かつ危険な技で外していましたが
今回初めて手を付けるクラッチ側はこの方法ではどうしても外れず
ナットにも人体にも危険な予感がしてきたので、すっぱりあきらめて新兵器導入しました。

新兵器?12V電動インパクト登場

 これはホームセンターなど4輪のホイール交換用として売ってるあれです。
以前、セロークラッチセンターを外すのに弟から借りたところ、十分使えることを
確認していたので迷わず購入。
自家用車のタイヤ交換にも使うし、セローのキックセット取り付けにも使うし
それに、おお!これでDIOのクラッチチューニングにも手軽に手を付けられる!(^^;)
電源は、ワニグチクリップが付属してきたのでDIOのバッテリから取ればOK。
もしかしてバッテリ上がるかもしれないけど、いいのよそのときは充電すれば(^^)。
文明の利器の威力は絶大、3発でナットは取れました。
いつも人力インパクトのドライブ側も1発でOK、すばらしい!
このくそ暑い時期、体力を使わなくてすむだけでカネを出した甲斐があるってもんだ。
クラッチとベルトが外れたら次はギアボックスである。

ギアボックス分解

 ここはボルトを何本か外すだけなのだが、カバーがノックピン&ガスケット入りで
がっちり張り付いているので、これをあちこちプラハンマーでたたいたり
マイナスドライバーでこじったりして開けなければならない。
一番簡単なのは、カバー下部の、おそらくこじり用と思われる穴に
ドライバーを入れてこじってやると、簡単に外れる。
外れると、ギアオイルがどばーっと出てくるので、トレイで受ける。
ノックピンやら、ワッシャが落ちてくる場合があるのでなくさないように注意。
ここで交換する部品は2個。
1つは外したカバーに刺さっているドライブシャフト。
もう一つはギアボックスの奥にある、カウンターギア。
しかし、この二つともこのままでは取れないので、また作業が必要になるのだ。

カウンターギアの取り出し

 このギアは、ファイナルギアの陰に半分隠れている。
軸となるカウンターシャフトを抜いてやるとフリーになるので取れそうな感じなのだが
びみょーにファイナルギアが邪魔になり取れない。
マニュアルにも「そのままではとれない」と明記してあったのだが
何かの間違いで取れないかと、しばらくがんばったが駄目でした。
仕方なく、ホイールのセンターナットを外して、アクスルシャフト(=ファイナルギア)
を少しずらす、という正規の方法でやることにするが
マフラーが邪魔で、せっかくのインパクトが掛けられない。
(ホイールを外す訳じゃないのでマフラーはそのままでOK)
でもせっかくなんだしと、ちょっと斜めった状態でインパクトを掛けてみる。
...駄目か〜ゆるまねえなあ、と思ったらソケットが斜めにナットにめり込んで取れない(爆)
プラハンでひっぱたいても取れず、仕方ないので逆回転でもう一度インパクトを掛けて
しばらく叩いたりねじったりしてやっと取れた。ハァハァ...
何とかナットはやっつけずに済んだので、由緒正しくリアブレーキをロックした上で
めがねレンチで人力インパクトで外す。
ドライブシャフトが少しずれれば、カウンターギアは簡単に取れる。

ライブシャフトの抜き取り、取り付け
 
 ドライブシャフトはベアリングに圧入されているためそのままでは外せない。
マニュアルにはプレスかプラハンで叩いて外せと書いてあるが
ベアリングにはまっているもんをただぶっ叩いたら、ベアリングにダメージが出る可能性大。
しかし、シャフトにフランジが付いているため、インナーレースが僅かしか(1ミリ強)
出ておらず、カラーを噛ませるにしても本当にぴったりの内径の物でないと
インナーレースに掛からないのだ。
そんな訳で探してみたら、ありました!ぴったりのが。
ホームセンターの水道管コーナーに置いてあるPVが内径ぴったり。
シャコ万で圧を掛けていくと、ぽこんと外れました。
次にキットのシャフトを入れるのだが、ベアリングの反対側には
オイルシールが入っているためインナーレースにカラーを掛ける方法は使えない。
オイルシールも交換しない予定なので、下手に外して駄目にするのも避けたい。
ということで、ベアリングに負担はかかるが、オイルシールを逃げる形で
少し大きい径のPV管を使って同じくシャコ万で圧入。
これまた、最後の数ミリはぽこんと入るのでわかりやすい。
ベアリングにガタが出ていないことを確認して終了。

今回活躍したツール
塩ビ管2本
シャコ万
...これだけ
しかし、シャコ万ってのは
応用範囲が広いねえ。
シャフト抜き取りの図
塩ビ管の内径は
ベアリングのインナーレース
に丁度引っかかる大きさ
V(^0^)
問題のオイルシール
ベアリングが隠れているのでレースにカラーを
掛けられません
とりあえずこの辺までは
差し込めます。
オイルシールを逃げる形で
径の大きい塩ビ管を使い
シャコ万で押し込みます


組み立て

 ギアボックスは分解と逆の手順で組み立てるが、カウンターシャフトの
両端に付くワッシャーを忘れずに。
ベアリングや軸受け、ギアの歯などにはあらかじめオイルを塗布しておく。
締め付けトルクが問題となりそうなナット類は、あらかじめポンチで
印を付けて置いたので、これを目安に締め付けを決定した。

試走

 おおむね良好であった。
心配していた出足は、出だしの一瞬は遅いが、動き出してしまえば
加速はそれほど悪化しておらず、実用上問題なし。
平地での巡航は、明らかに回転数が下がっており、ねらい通りといえる。
バイパスなど、流れの速いところでも安心して巡航できることを確認した。
最高速は、元からメーター振りきっているので不明だが
遅くなった感じはなく、むしろ今までメータ読みで60キロ付近にあった
パワーバンドが70キロ辺りに来ており、メーター振りきった所から
さらに加速するようになった。
メーターを振り切るまでの時間も早くなっている感じでマル。
登坂速度についても劣化は無いように思われる。

まとめ

 所期の目的は達成できたと考えられる。
トルク型と言われているデイトナのボアアップを使用している為か
ハイギアキットとのマッチングは良好であるといえる。
ネット上ではハイギアは駄目だったとの情報も多いが
確かに、高回転型のエンジンでは、中低速で問題が出る可能性は高いだろう。
今後の課題としては、スタート時、極初期の出足が遅い事が挙げられる。
動き始めてしまえばこれまでと加速はあまり変わらないため、おそらく
クラッチタイミングの変更で対処できる問題であろう。